植松耳鼻咽喉科医院 上白根,鶴ケ峰駅,旭区,横浜市 耳鼻咽喉科

症状についてのQ&A

めまい

Q:突然めまいが起こり、救急外来で治療をしましたが、後日耳鼻科へ行って下さいと言われました。
めまいが起こった場合は耳鼻科へ行けばいいのでしょうか。

めまいの原因は、めまいの種類によってある程度推定できます。
耳鼻咽喉科系の病気によるめまいは、突発的に起こるグルグル回るような回転性のめまいが多く、内耳に体のバランスをとる三半規管と前庭、音を聴く器官の蝸牛(かぎゅう)があるため、めまいに耳鳴りや難聴を伴うことが少なくありません。
グルグル回る回転性めまいには、耳から起こるめまいで最も多く、めまい患者の約20~40%を占めるといわれる、良性発作性頭位めまい症があります。良性発作性頭位めまい症の原因としては、内耳の前庭にある耳石がはがれて三半規管に入り込み、リンパの流れに異常が生じてめまいを起こすと考えられています。起床時や寝返りをうつときなど、決まった頭の位置を動かすことでめまいが生じ、通常1分以内に治まります。また吐き気や嘔吐(おうと)を伴うことがあります。同じ回転性めまいでも、「内リンパ水腫」と呼ばれる内耳のむくみにより起こり、難聴、耳鳴りなどを繰り返すめまいは、メニエール病といわれており、めまいの持続時間は数時間から数日間続きます。また、難聴や耳鳴りなどは伴わない前庭神経炎は、よく風邪などの症状の後に回転性めまいが数日間続きます。
原因はまだはっきりしていませんが、ウイルス感染によるといわれています。フワフワ体が浮くようなめまいとしては、自律神経系のめまいで更年期障害や女性ホルモンのバランスの乱れ、ストレスや疲労が誘因となることが多いです。
また、頸椎(けいつい)の病気で脊柱管狭窄(きょうさく)症などや、血圧が急激に変動すると脳へ送られる血流量が不安定となるめまいで、起立性低血圧、高血圧、不整脈などがあります。めまいが突然起こると、まず脳出血、脳梗塞ではないかと心配されますが、体のバランスをとる小脳と耳の動きを統制する脳幹に出血、梗塞が生じるとめまいが起きます。中でも、小脳の出血や梗塞では、頭の位置に関係なくめまいが持続し、横になっているときには目立ちませんが、立った途端にバランスを崩し、歩くと非常にふらつきます。脳幹の出血、梗塞では、多くは回転性めまいと同時に半身の運動まひや感覚まひ、舌が回らないろれつ障害などが起きますが、姿勢や頭の位置によって症状は変化せず、耳鳴りや難聴もありません。
最後に、めまい以外に頭痛、手足のしびれ、ろれつ障害、物が二重に見えるなどの症状がある場合は神経内科、脳外科の受診を、クラッとするめまいは、血圧によることがあるので循環器内科の受診を、難聴や耳閉感、耳鳴りなどがめまいに伴う場合は耳鼻咽喉科の受診をお勧めします。

突発性難聴

Q:社会人の息子が最近仕事が忙しく、食事や睡眠が十分でありません。
先日より片耳がよく聞こえないとのことで耳鼻科へ行くと「突発性難聴」と言われたそうです。
どういった病気でしょうか。

突然に原因不明な内耳性の感音性難聴が発症する疾患を突発性難聴といいます。原因は不明ですが、ストレスや睡眠不足、疲労などにより免疫能力が弱くなり、ウイルスに感染して発症したり、または耳の中の血流障害で発症するという説もあります。発症は突然で、それまで何の障害もなかったのに、ある日を境にして突然音が聞こえなくなるという突発的に生じる難聴のことをいいます。ある程度の時間をかけて徐々に難聴が進んだようなケースは突発性難聴ではありません。
症状として(1)突発性難聴その名の通り、突然聞こえなくなり、また両耳ではなく(まれに両側性となる場合もあり)多くの場合片耳だけが難聴を発症する。(2)難聴に伴う症状ともいえるが、突然片方の耳に耳鳴りや耳が詰まった感じがある。(3)めまいを起こす場合もあり、特徴としては繰り返さない。繰り返す場合はメニエール病の可能性がある―などがあります。
検査としては文字通り突然発症する難聴なので、問診が重要です。視診では、耳あかや中耳炎などの疾患がなく正常で、聴力検査にて、患側耳の聴力が低下しています。
治療法としては、薬剤によるものと、高圧酸素療法があります。薬剤療法としては、第1選択になるステロイド剤の内服量を徐々に減らす方法、点滴でステロイド剤の量を減らすステロイドステロイド漸減療法があり、ステロイド剤の投与は発症後1週間以内であれば治療成績は比較的良好で、2週間を過ぎると治療効果は大幅に低下します。またステロイド剤は既往症、例えば糖尿病、高血圧などの症状を悪化させることがあるので、十分に注意が必要な治療法です。またステロイド剤と併用して、血液循環をよくする循環改善薬、耳の細胞を元気にする代謝賦活剤、ビタミン剤などの薬物療法があります。これらの治療法に加えて安静にすることが大切なので、入院して治療を行うことがあります。また、栄養バランスのとれた食事や睡眠をしっかりとり、熱いお風呂や長湯は避け、できるだけ禁酒・禁煙を、またテレビ・読書は●●●●●●してストレスをためないように精神的な安静も心がけましょう。
突然難聴になったら、せめて1週間以内に耳鼻咽喉科を受診して、治療を受けるようにすれば回復する可能性が高くなる疾患なので、早めの受診を心掛けて下さい。

いびき

Q:主人のいびきがうるさく、夜眠れません。何かの病気でしょうか。
受診する場合は耳鼻咽喉科で良いのでしょうか。

「いびき」は、一般的に太っていて顎や首に脂肪がついたり、首が太く短い人や、顎が小さい小顎症、アルコール摂取にて筋肉が緩んで喉がふさがりやすくなったりする人に多く、耳鼻科疾患ではへんとう腺肥大、アデノイド肥大、花粉症やアレルギー性鼻炎、鼻中隔湾曲症などによる鼻閉、睡眠時無呼吸症候群によっても起こることがあります。ここでは、その中でも最も注目されている睡眠時無呼吸症候群による「いびき」についてお話しします。睡眠時無呼吸症候群(SAS:Sleep Apnea Syndrome)では、空気の通り道である気道が完全あるいは部分的に閉塞(へいそく)してしまい、睡眠中に何度も呼吸が止まったりする状態(無呼吸)、止まりかける状態(低呼吸)を繰り返し、その結果睡眠が妨げられて日中の眠気を引き起こし、居眠り運転などによる交通事故につながることが問題となっています。また、繰り返す低酸素状態による高血圧、心筋梗塞、脳卒中(脳出血、脳梗塞)などの循環器疾患や糖尿病などの合併症を引き起こすこともあります。治療せずに放置しておくと生命に危険がおよぶ場合もあるため、適切な検査と患者に応じた治療が必要です。SASで最も多く認められる症状は「いびき」で、そのいびきは部屋中に響きわたるような大きなものが多く、「怪獣みたい」と表現されたり、「家族の人や周囲の人が寝ることができない」といわれたりし、睡眠中に息が止まり中途覚醒を生じるために日中の眠気や倦怠(けんたい)感を生じたりします。このような症状を呈する場合には、まずSASを考えます。
その原因や重症度には、自宅での簡易検査方法もありますが、一般的には一晩入院をして電極やセンサーなどの検査端子を睡眠中に身体に着け脳波と心電図、胸部や腹部の動き、鼻からの空気の流れ、動脈中の酸素量を測定するポリソムノグラフィー(PSG)という検査を行ったうえで、適切な治療を行います。治療法には、睡眠中に一定圧を加えた空気を鼻から送り込み、上気道閉塞をなくし気道を確保する経鼻的持続陽圧呼吸療法装置(nasa1CPAP)を使用します。さらに、口腔(こうくう)内の狭さや鼻閉などの改善も必要になるので、その際にはぜひとも耳鼻咽喉科を受診することをお勧めします